事例集 漫画家・同人作家・クリエイターの税金に関する事例
平均課税のインパクトは大きい!
 平均課税って何?今までそんな制度知らなかった、私も使えるの?損してそうだけどどうしよう、という方もご安心ください。 3年目の申告までであれば遡って修正を行うことができます。

 本来であれば平均課税には当初申告要件と言って、使わなかったのは自己責任、後から修正はできませんという規定だったのですが、規定の改正があり3年目分からは修正ができるようになりました。

ただ、残念ながら2年目分以前のものに関しては修正できません。

過去の修正といっても、「修正してどのくらいメリットがあるの?」という所が一番気に かかるかと思いますので、最近私が携わった事例を見ていきましょう。

■事例1
  1年目 2年目 3年目 4年目
売上 510万 450万 490万 1,000万
経費 40万 220万 210万 270万
 修正は3年目分と4年目分を行うのですが情報としては1年目から必要です。このケースだと3年目分の還付0でしたが、4年目分は税金が約45万円還付されました。

■事例2
  1年目 2年目 3年目 4年目
売上 690万 710万 1,000万 1,460万
経費 411万 375万 360万 410万
 こちらの事例では、3年目分で約26万円、4年目分で約60万円合計約86万円の還付となりました。

 平均課税を使っている場合と使っていない場合でこのくらいの影響が出ます
法人設立のメリット・デメリット
 法人化に伴う節税というご相談をいただく事も多くあります。ですが、必ずしも良いことばかりではありません。
 法人設立には様々なメリット・デメリットがあります。下記では、その代表例をあげています。

■メリット
  • 法人税率は所得税の最高税率より低い
    所得税は、所得が多くなるほど税率が上がる仕組みになっています。そのため、所得税の最高税率は法人税よりも高くなっています。
  • 給与所得控除がある
    法人を設立すると、法人から給与を受け取ることになります。その給与について、所得税の計算上、給与所得控除を差し引くことができ、事業所得に比して税負担が軽くなります。
  • 消費税の免除を受けることができる
    法人設立時の資本金が1,000万円未満の場合、法人設立後、最大で2年間は消費税の免税事業者になります。
  • 欠損金を9年間繰り越すことができる
    赤字になった場合の欠損金の繰越について、青色申告をしている個人は3年間ですが、法人の場合は9年間です。
  • 生命保険料を経費にできる
    一定の契約内容の保険については、保険料を経費計上することが可能です。
  • 退職金を経費にできる
    個人の場合、社長やその家族に支払う退職金は経費になりませんが、法人の場合、その退職金が適正額である場合には経費にできます。
■デメリット
消費税率引き上げによる影響NEW
■消費税率の引き上げ
 2019年10月1日よりいよいよ消費税率が8%から10%に引き上げられます。今回の増税でクリエイターの皆様の消費税の納税額がどれほど変わってくるかを検討します。

■2種類の計算方法
 消費税の計算方法は大きく分けて2つあります。本則課税制度と簡易課税制度です。

 本則課税制度とは、原則的な計算方法で、預かった消費税額から支払った消費税額を控除して 納税額を求める計算方法です。
 簡易課税制度とは、預かった消費税額にみなし仕入率(区分された業種ごとに定められた率)を乗じて支払った消費税額を簡便的に求める計算方法です。

※課税事業者となるのは前々年度の課税売上高が 1,000 万円を超える場合です。(詳しくは事例集の「
消費税の納税義務」をご覧ください)
※簡易課税制度を選択できるのは前々年度の課税売上高が5,000万円以下である場合です。

■納税額への影響
① 本則課税制度
消費税率 5% 8% 10%
売上高
(消費税額)
1,200万円
(60万円)
1,200万円
(96万円)
1,200万円
(120万円)
経費
(消費税額)
600万円
(30万円)
600万円
(48万円)
600万円
(60万円)
消費税納税額 30万円 48万円 60万円

② 簡易課税制度~消費税を転嫁した場合~
消費税率 5% 8% 10%
売上高
(消費税額)
1,200万円
(60万円)
1,200万円
(96万円)
1,200万円
(120万円)
みなし仕入率 70% 70% 70%
消費税納税額 18万円 28.8万円 36万円

③ 簡易課税制度~消費税を転嫁しない場合~
消費税率 5% 8% 10%
売上高 1,200万円(税込) 1,200万円(税込) 1,200万円(税込)
みなし仕入率 70% 70% 70%
消費税納税額 17.1万円 26.6万円 32.7万円
■まとめ

 どちらの計算方法を採用しても、消費税率が引き上げられると納税者の納税額も増加します。
ただし、クリエイターの場合は売上に対する経費の割合がそこまで高くならないため、簡易課税制 度が有利になるケースがほとんどです。
 また、同人作家の場合、消費税が上がってもイベントでの販売価格に乗せにくく(500円、1,000円に設定していることが多い)、その場合、上記3の通り2と比べて消費税納税額は少なくなりますが、消費税増税分が実質的な売上高の減少となり、利益減少に直結するでしょう。
 いずれにしても、クリエイターの皆さんの負担は増し、その影響は決して小さくはないように思え ます。