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事例集

漫画家・同人作家・クリエイターの税金に関する事例
青色申告のメリット
  青色申告は白色申告に比べ、処理が少し煩雑になりますが、青色申告を行うことによって、様々な申告上のメリットを受けることができます。 以下はそのメリットの代表例です。
  • 青色申告特別控除
    所得金額から65万円又は10万円を控除できる。
  • 少額減価償却資産特例
    30万円未満の減価償却資産を取得して事業のように供した場合、1年あたり合計300万円までは必要経費として計上することができる。
  • 損失の繰越控除
    事業所得が赤字になり、損失が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間繰り越すことができる。
  • 青色専従者給与
    生計を一にする親族に対して給与を支払った場合に、その支払った金額を必要経費に算入することができる。
消費税の納税義務
 個人事業者の場合、消費税の納税義務の有無は前々年の課税売上高が1,000万円を超えているかどうかで判断します。
注意すべき点は、本年度の消費税の納税義務の判断において、本年度の課税売上高は関係なく、基準はあくまで前々年の課税売上高です。
前々年 前年 本年度
課税売上高 1,100万 900万 980万
 (注)平成25年1月1日以後に開始する年については、前々年の課税売上高が1,000万円以下であっても前年の1月1日から6月30日までの期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合、課税事業者となります。
 この場合、本年度の課税売上高は1,000万円以下ですが、前々年の課税売上高が1,000万円を超えているため、本年度は消費税の課税事業者となります。
  なお、個人事業を新たに始めた場合は、開業2年間は消費税の納税義務はありません。
平均課税のインパクトは大きい!
 平均課税って何?今までそんな制度知らなかった、私も使えるの?損してそうだけどどうしよう、という方もご安心ください。 3年目の申告までであれば遡って修正を行うことができます。
 本来であれば平均課税には当初申告要件と言って、使わなかったのは自己責任、後から修正はできませんという規定だったのですが、規定の改正があり3年目分からは修正ができるようになりました。
 ただ、残念ながら2年目分以前のものに関しては修正できません。
 過去の修正といっても、「修正してどのくらいメリットがあるの?」という所が一番気に かかるかと思いますので、最近私が携わった事例を見ていきましょう。
■事例1
1年目 2年目 3年目 4年目
売上 510万 450万 490万 1,000万
経費 40万 220万 210万 270万
 修正は3年目分と4年目分を行うのですが情報としては1年目から必要です。このケースだと3年目分の還付0でしたが、4年目分は税金が約45万円還付されました。
■事例2
1年目 2年目 3年目 4年目
売上 690万 710万 1,000万 1,460万
経費 411万 375万 360万 410万
 こちらの事例では、3年目分で約26万円、4年目分で約60万円、合計約86万円の還付となりました。
 平均課税を使っている場合と使っていない場合でこのくらいの影響が出ます。
サークルでの収入
 同人活動をされている方の中にはサークル単位で活動しているという場合 もあるかと思います。そういった場合、確定申告ではサークルの収入をど のように反映させれば良いのでしょうか。
■まずはサークル単位で収支をまとめる
 各人に反映させる前にまずはサークル単位での収支をきちんとつけましょ う。特に青色申告を行う場合は、売上・原価・各種経費を自分の帳簿と同 じようにつけます。
 その後、自分の取り分について自分の収支と合算します。 サークル収支の帳簿も自分の帳簿と同じように保管しましょう。
自分の収入
売上 60,000
原価 20,000
経費 ----------
 …費 5,000
 …費 3,000
 …費 6,000
利益 26,000
サークル収入
売上 10,000
原価 3,000
経費 ----------
 …費 1,000
 …費 2,000
 …費 1,000
利益 3,000
※サークルは2人サークルとする
2つの合算
売上 65,000
原価 21,500
経費 ----------
 …費 5,500
 …費 4,000
 …費 6,500
利益 27,500
※合算はサークル分の2分の1で計算
法人設立のメリット・デメリット
 法人化に伴う節税というご相談をいただく事も多くあります。ですが、必ずしも良いことばかりではありません。
  法人設立には様々なメリット・デメリットがあります。下記では、その代表例をあげています。
■メリット
  • 法人税率は所得税の最高税率より低い
    所得税は、所得が多くなるほど税率が上がる仕組みになっています。そのため、所得税の最高税率は法人税よりも高くなっています。
  • 給与所得控除がある
    法人を設立すると、法人から給与を受け取ることになります。その給与について、所得税の計算上、給与所得控除を差し引くことができ、事業所得に比して税負担が軽くなります。
  • 消費税の免除を受けることができる
    法人設立時の資本金が1,000万円未満の場合、法人設立後、最大で2年間は消費税の免税事業者になります。
  • 欠損金を9年間繰り越すことができる
    赤字になった場合の欠損金の繰越について、青色申告をしている個人は3年間ですが、法人の場合は9年間です。
  • 生命保険料を経費にできる
    一定の契約内容の保険については、保険料を経費計上することが可能です。
  • 退職金を経費にできる
    個人の場合、社長やその家族に支払う退職金は経費になりませんが、法人の場合、その退職金が適正額である場合には経費にできます。
■デメリット
  • 設立費用がかかる
    法人設立の際、登記費用として約25万円が必要になります。また、手続きの代行を司法書士等に依頼した場合、さらに数万円の報酬費用がかかります。
  • 社会保険への加入義務
    法人には、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられており、国民健康保険に比して負担が増える場合もあります。
  • 赤字でも税額負担があります
    法人の場合、たとえ決算が赤字でも、法人住民税の均等割(最低7万円)の税額負担があります。
  • 平均課税を使えなくなります
    平均課税は所得税特有の計算方法であるため、法人ではそのような計算はできなくなります。
会社設立のタイミング
 規模が大きくなってきた個人事業者様から会社設立(法人成り)のタイミングについての質問を受けることがあります。
 下記は、3 パターンの規模で会社設立した場合の節税シミュレーションです。 基本的に、利益額が多くなればなるほど個人事業者の場合より、会社設立した場合の方 が節税効果は高くなります。
1)平均課税は考慮しない
2)所得控除は基礎控除の38万円のみ
3)利益の全額を役員報酬とする
 (注)上記のシミュレーションは簡便的にシミュレーションしたもので、実際には役員報 酬をいくらに設定するか、所得控除の金額などにより、個人事業者の方が有利になる 場合もありますので、詳細なシミュレーションのご依頼はこちらまで。
税務調査でよく指摘される項目
 出来れば来てほしくない税務調査。 調査官は次のような項目を重点的にチェックします。
■売上のモレは無いか
 いつもと違う通帳に入金したものや、現金で受け取ったもので、計上し忘れているもの が無いか。請求書や領収書の控え、イベントの参加履歴などからチェックします。 調査官が一番入念にチェックするのが、「期ズレ」と呼ばれる、年度をまたぐ収入です。
 12月の売上で1月や2月に入金しているものが無いかを確認していきます。仕事が終わっ たのが 12月中であれば 12月の売上として経理する必要があります。
■在庫の計上モレや次年度以降の経費は無いか
 12月までに支払った印刷代や外注費でも、翌年以降の売上に対応するものは、その年の経費に入れられません。調査官は11月や12月の支払で大きいものがないかをチェックしています。
■売上のモレは無いか
 所得税の法律では、「収入を得るために直接要した費用」を経費とすると定められています。特に高額な支出については、指摘されたときに「こういう理由でこの費用が必要だ」と言えるようにしておきましょう。
売上計上の考え方
 「売上は入金があった時点で計上」と考えたくなります。
 しかし、それでは、得意先から入金を遅らせてもらえば売上の計上タイミングを簡単にずらせることになります。
 税金の世界では「商品の納品が済んだ時」「サービスの提供が完了した時」を売上計上のタイミングになります。
 同人誌を書店に委託販売するケースで考えてみましょう。
 「7月度同人誌売上連絡状」と書かれているし、入金が7月のため、ついつい7月の売上と考えがちです。それは間違いです。
 「販売集計期間」は「6月1日より6月末日まで」となっています。まだ入金されていませんが、納品は完了しています。だから6月の売上として計上しなければなりません。
漫画家と事業税
■事業税って何?
 事業を行っている個人が各都道府県に対して納める税金です。確定申告をすることで同時に申告したことになります。
■商業、同人の違い
  • 印税、原稿料収入:文筆業に該当し、事業税対象外
  • 物品販売収入(同人):事業税の対象となります
    ※ダウンロード販売の収入等も事業税の対象となります。
■実際にどれくらい税金がかかるの?
  1. 印税、原稿料収入のみの場合
    文筆業に該当し、法定業種に含まれないため個人事業税はかかりません。
  2. 物品販売収入のみの場合
    (前年の所得金額+青色申告特別控除額−290万)×5%=税額
    ※事業を行った期間が1年に満たない場合は月割り
  3. 印税、原稿料収入と物品販売収入の両方がある場合
    一年間の収支を対象外である商業(印税・原稿料)と同人に区分します。
(例) 全体 商業 同人・ダウンロード
売上 15,000 10,000 5,000
経費 10,000 6,500 3,500
利益 5,000 3,500 1,500
 事業税の対象となるのは、同人・ダウンロード販売等の利益に対してのみですので、この 場合 1,500 が対象となります。
 ※青色申告の控除等がある場合にはその控除額の按分も必要です。
消費税率引き上げによる影響
■消費税率の引き上げ?
 2019年10月1日よりいよいよ消費税率が8%から10%に引き上げられます。今回の増税でクリエイターの皆様の消費税の納税額がどれほど変わってくるかを検討します。
■2種類の計算方法
 消費税の計算方法は大きく分けて2つあります。本則課税制度と簡易課税制度です。

 本則課税制度とは、原則的な計算方法で、預かった消費税額から支払った消費税額を控除して 納税額を求める計算方法です。
 簡易課税制度とは、預かった消費税額にみなし仕入率(区分された業種ごとに定められた率)を乗じて支払った消費税額を簡便的に求める計算方法です。

※課税事業者となるのは前々年度の課税売上高が 1,000 万円を超える場合です。(詳しくは事例集の「消費税の納税義務」をご覧ください)
※簡易課税制度を選択できるのは前々年度の課税売上高が5,000万円以下である場合です。
■納税額への影響
 ① 本則課税制度
消費税率 5% 8% 10%
売上高
(消費税率)
1,200万円
(60万円)
1,200万円
(96万円)
1,200万円
(120万円)
経費
(消費税率)
600万円
(30万円)
600万円
(48万円)
600万円
(60万円)
消費税納税額 30万円 48万円 60万円
 ② 簡易課税制度〜消費税を転嫁した場合〜
消費税率 5% 8% 10%
売上高
(消費税率)
1,200万円
(60万円)
1,200万円
(96万円)
1,200万円
(120万円)
みなし仕入率 70% 70% 70%
消費税納税額 18万円 28.8万円 36万円
 ③ 簡易課税制度〜消費税を転嫁しない場合〜
消費税率 5% 8% 10%
売上高
(消費税率)
1,200万円
(税込)
1,200万円
(税込)
1,200万円
(税込)
みなし仕入率 70% 70% 70%
消費税納税額 17.1万円 26.6万円 32.7万円
■まとめ
 どちらの計算方法を採用しても、消費税率が引き上げられると納税者の納税額も増加します。 ただし、クリエイターの場合は売上に対する経費の割合がそこまで高くならないため、簡易課税制 度が有利になるケースがほとんどです。
 また、同人作家の場合、消費税が上がってもイベントでの販売価格に乗せにくく(500円、1,000円に設定していることが多い)、その場合、上記3の通り2と比べて消費税納税額は少なくなりますが、消費税増税分が実質的な売上高の減少となり、利益減少に直結するでしょう。
 いずれにしても、クリエイターの皆さんの負担は増し、その影響は決して小さくはないように思え ます。